クラスとオブジェクト
PHP Manual

クラスの基礎

class

各クラスの定義は、classキーワードで始まり、クラス名が続きます。 そしてその後に波括弧のペアが続き、 その中にはクラスのプロパティとメソッドの定義を記述します。

クラス名には、PHP の予約語 以外でラベルとして有効なあらゆる名前を使用することができます。 有効なクラス名は、先頭が文字あるいはアンダースコアで始まり、 その後に任意の数の文字/数字/アンダースコアが続くものです。 正規表現で表すと、 ^[a-zA-Z_\x7f-\xff][a-zA-Z0-9_\x7f-\xff]*$ のようになります。

クラスの中には、 定数変数 ("プロパティ" といいます) そして関数 ("メソッド" といいます) を含めることができます。

例1 簡単なクラス定義

<?php
class SimpleClass
{
    
// プロパティの宣言
    
public $var 'a default value';

    
// メソッドの宣言
    
public function displayVar() {
        echo 
$this->var;
    }
}
?>

メソッドがオブジェクトコンテキストからコールされる場合は、 疑似変数 $this が利用可能です。 $this は、呼び出し元オブジェクト (通常は、メソッドが属するオブジェクトですが、 メソッドが第二のオブジェクトのオブジェクトの コンテキストから スタティックに コールされる場合には、別のオブジェクトとなる場合もあります) への参照です。

例2 $this 疑似変数の例

<?php
class A
{
    function 
foo()
    {
        if (isset(
$this)) {
            echo 
'$this is defined (';
            echo 
get_class($this);
            echo 
")\n";
        } else {
            echo 
"\$this is not defined.\n";
        }
    }
}

class 
B
{
    function 
bar()
    {
        
// 注意: E_STRICT が有効な場合、次の行で警告が発生します
        
A::foo();
    }
}

$a = new A();
$a->foo();

// 注意: E_STRICT が有効な場合、次の行で警告が発生します
A::foo();
$b = new B();
$b->bar();

// 注意: E_STRICT が有効な場合、次の行で警告が発生します
B::bar();
?>

上の例の出力は以下となります。

$this is defined (A)
$this is not defined.
$this is defined (B)
$this is not defined.

new

あるクラスのインスタンスを生成するには、new キーワードを使わなければなりません。エラー時に 例外をスローするような コンストラクタを定義していない限り、 オブジェクトが常に生成されます。 クラスは、そのインスタンスを作成する前に定義しなければなりません (これが必須となる場合もあります)。

クラス名を含む文字列を new で指定すると、 そのクラスのインスタンスを作成します。クラスが名前空間に属している場合は、 完全修飾名を指定しなければなりません。

例3 インスタンスを作成する

<?php
$instance 
= new SimpleClass();

// 変数を使うこともできます
$className 'Foo';
$instance = new $className(); // Foo()
?>

クラスのコンテキストにおいては、 new selfnew parent のようにして新しいオブジェクトを作成することができます。

作成済みのクラスのインスタンスを新たな変数に代入する場合、新しい変数は、 代入されたオブジェクトと同じインスタンスにアクセスします。 この動作は、インスタンスを関数に渡す場合も同様です。 作成済みのオブジェクトのコピーは、その クローンを作成 することにより作成可能です。

例4 オブジェクトの代入

<?php

$instance 
= new SimpleClass();

$assigned   =  $instance;
$reference  =& $instance;

$instance->var '$assigned will have this value';

$instance null// $instance と $reference は null になります

var_dump($instance);
var_dump($reference);
var_dump($assigned);
?>

上の例の出力は以下となります。

NULL
NULL
object(SimpleClass)#1 (1) {
   ["var"]=>
     string(30) "$assigned will have this value"
}

PHP 5.3.0 以降では、オブジェクトのインスタンスを作成する別の方法が新たに導入されました。

例5 新しいオブジェクトの作成

<?php
class Test
{
    static public function 
getNew()
    {
        return new static;
    }
}

class 
Child extends Test
{}

$obj1 = new Test();
$obj2 = new $obj1;
var_dump($obj1 !== $obj2);

$obj3 Test::getNew();
var_dump($obj3 instanceof Test);

$obj4 Child::getNew();
var_dump($obj4 instanceof Child);
?>

上の例の出力は以下となります。

bool(true)
bool(true)
bool(true)

extends

クラスは、宣言部に extends キーワードを含めることで、他のクラスのメソッドと プロパティを継承することができます。多重継承を行うことはできず、クラスが継承できるベース クラスは一つだけです。

継承されたメソッドやプロパティをオーバーライドするには、 親クラスで定義されているのと同じ名前でそれを再宣言します。 しかし、親クラスでそのメソッドが final 定義されている場合はオーバーライドできません。 オーバーライドされた元のメソッドや静的プロパティにアクセスするには、 parent:: で参照します。

メソッドをオーバーライドするときには、パラメータのシグネチャも同じでなければなりません。 もし違っていれば、PHP は E_STRICT レベルのエラーとなります。ただしコンストラクタは例外で、 異なるパラメータでオーバーライドすることができます。

例6 簡単なクラスの継承

<?php
class ExtendClass extends SimpleClass
{
    
// 親クラスのメソッドを再定義
    
function displayVar()
    {
        echo 
"Extending class\n";
        
parent::displayVar();
    }
}

$extended = new ExtendClass();
$extended->displayVar();
?>

上の例の出力は以下となります。

Extending class
a default value

::class

PHP 5.5 以降では、class キーワードでクラス名の解決ができるようになりました。 ClassName クラスの完全修飾名を文字列で取得するには、 ClassName::class とします。 これは、 名前空間つきのクラスと組み合わせると特に便利です。

例7 クラス名の解決

<?php
namespace NS {
    class 
ClassName {
    }
    
    echo 
ClassName::class;
}
?>

上の例の出力は以下となります。

NS\ClassName


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