この"ミニチュートリアル"では、 簡単な認証機構を利用してシステムを構築し、 サイトをセキュアにすることを目標とします。
セキュアにしたいサイトのはじめに、以下の短いコードを置いてください。
PEAR::Authの典型的な使用例
<?php
require_once "Auth.php";
// 三つの引数を受け取ります。それぞれ
// 直近にログインを試みたユーザ名、認証状態、そして Auth オブジェクトです。
// このシンプルなデモではこれらを使用しませんが、ちゃんとした処理を
// 書く際には必要となるでしょう。
function loginFunction($username = null, $status = null, &$auth = null)
{
/*
* HTML出力は、作成するアプリケーションに合うように、
* 変更してください。
*/
echo "<form method=\"post\" action=\"test.php\">";
echo "<input type=\"text\" name=\"username\">";
echo "<input type=\"password\" name=\"password\">";
echo "<input type=\"submit\">";
echo "</form>";
}
$options = array(
'dsn' => "mysql://user:password@localhost/database",
);
$a = new Auth("DB", $options, "loginFunction");
$a->start();
if ($a->checkAuth()) {
/*
* サイトの出力はここ。
*/
}
?>
このような短いコードでも、認証システムを実現できています。
最初の行では、PEARディレクトリからファイルを読み込んでいます。 そのファイルには、PEAR::Auth の実行に必要なコードが全て含まれています。 次に、ページの閲覧者がログインデータを入力するために使用する ログインフォームを表示する関数を定義します。 この関数のHTML フォーマットは自由に変更することが出来ます。
この例では、ログインデータの検証にデータベースを使用するので、
変数$dsn
を作成します。
この変数には、
PEAR::DB
によるデータベース接続に使われる有効なDSN文字列を指定します。
デフォルトのテーブルスキーマについて、および
データベース以外のストレージコンテナを使用する方法については、
後述の説明を参照下さい。
その後、認証オブジェクトを作成します。 はじめの引数には、ストレージコンテナ名を指定します。 ここでは、データベースによるストレージコンテナを使用するので、 "DB"を渡します。 2番目には、使用するストレージコンテナのドライバへの コネクション引数です。 ここでは、定義済のDSN文字列を使います。 3番目の引数は、スクリプトの最初で定義した関数の名前です。 この関数は、ログインフォームを表示します。
ついで、認証オブジェクトを初期化します。そして、 ユーザがログインしているかどうか調べる必要があります。 これは、checkAuth()メソッドにより行います。 TRUEが返されると、ページの内容をユーザに示すことができます。
認証の選択的な使用
<?php
// ここでは、ファイルの名前が "test.php" であるとします
require_once "Auth.php";
function loginFunction()
{
/*
* HTML出力は、作成するアプリケーションに合うように、
* 変更してください。
*/
echo "<form method=\"post\" action=\"test.php?login=1\">";
echo "<input type=\"text\" name=\"username\">";
echo "<input type=\"password\" name=\"password\">";
echo "<input type=\"submit\">";
echo "</form>";
}
if (isset($_GET['login']) && $_GET['login'] == 1) {
$optional = true;
} else {
$optional = false;
}
$options = array(
'dsn' => "mysql://user:password@localhost/database",
);
$a = new Auth("DB", $options, "loginFunction", $optional);
$a->start();
echo "すべての人がこのテキストを読めます。<br />";
if (!isset($_GET['login'])) {
echo "<a href=\"test.php?login=1\">ログイン</a>\n";
}
if ($a->getAuth()) {
echo "ログインした人だけが、ここを見れます。";
}
?>
上記は、ログイン機能を選択的に使用する例です。
最後の$optional
パラメータは、
TRUEまたはFALSEとします。
FALSEとした場合、ログインフォームは表示されず、
ユーザは「すべての人がこのテキストを読めます。」
の文だけを見ることができます。
もし、ユーザがこのページ上部のリンクをクリックすると、
GETパラメータが"login=1"となって、同じページに接続します。
今回は、ログイン情報をログインフォームに入力できます。
ログインに成功すると、
「すべての人がこのテキストを読めます。」の文と
「ログインした人だけが、ここを見れます。」
の文の両方を見ることができます。
ログアウト機能
以下の例では、現在のユーザをログアウトさせ、 ログインフォームを再び表示します。
<?php
$myauth->start();
if ($_GET['action'] == "logout" && $myauth->checkAuth()) {
$myauth->logout();
$myauth->start();
}
?>
以下では、PEAR::Authの機能についての 詳細を示します。
次のSQL文は、MySQLを使用して、 データベース認証用のデフォルトのスキームを作成します。
CREATE TABLE auth ( username VARCHAR(50) default '' NOT NULL, password VARCHAR(32) default '' NOT NULL, PRIMARY KEY (username), KEY (password) );
認証を機能させるために必要なテーブル名とフィールド名が示されています。 PEAR::Auth のデフォルトの暗号化方式である MD5 アルゴリズムでパスワードのハッシュ値を計算する場合、 password カラムは、32文字以上とする必要があります。 他の暗号化方式、たとえばDES ("UNIX crypt") など、を使用する場合は、 それに合わせてカラムサイズを変更する必要があります。